Carnegie Mellon University

日本の宇宙産業の現状
The Current State of the Japanese Space Industry

Joseph (Joey) Wildman
Carnegie Mellon University – Japanese Studies

Abstract

The commercial space industry is seeing a rapid increase in activity globally, with civilian enterprises taking over a field which was previously driven by government agencies. Moreover, the recent successes of companies such as SpaceX in reducing the cost of space-related activities is causing a paradigm shift in the commercialization of space. Given this global context, I explored the current conditions surrounding the Japanese space industry, compared its growth with other leading nations, and outlined the future of Japanese space enterprises. The Japanese space industry is diverse, being composed of rocket and satellite manufacturers, geospatial analytics firms and space exploration startups, and boasts economic activity that is seldom found in many countries. However, the current scale of the Japanese space industry is miniscule compared to advanced nations such the United States and the EU, with revenue, investment, and government subsidization all comparatively lacking. However, with promising startup companies leading the way in Japanese innovation and the advent of CubeSats and rideshare services, the Japanese space industry may yet be able to gain prominence on the world stage. 

1. はじめに

宇宙の魅力が言うまでもなくよく知られ、多くの人々が「宇宙に関して何かをしたい」という夢があるだろう。しかし、歴史的に人工衛星を製造したり、ロケットを打ち上げたりすることは大国の政府しかできなかった。つまり、宇宙に関する活動の価格はとても高くて、最先端技術が必要でその技術の知識はほとんど国家秘密だった。だが、最近世界中でいわゆる「宇宙産業」という言葉が出て来て、宇宙技術などに焦点を当てる様々な企業が生まれた。例えば、今年スペースXというアメリカ企業が野口聡一日本人飛行士を含めて4人の飛行士をロケットで打ち上げ、初めて民間企業が有人宇宙船を打ち上げたということだった。

この背景で、トピックは日本の宇宙産業の現状はどうなっているかということだ。選んだ理由は大分、宇宙についてとても強い興味を持っているからだ。そして、アメリカでは宇宙産業が急速に拡大しているが、日本の宇宙産業のことをあまり知らなくて、詳しく研究したいと思った。簡単な結論は、日本の宇宙産業は世界一ではないが、近年進展傾向が見られ、国際的に比較すると繁盛しているし、将来にもずいぶん進展すると考えられている。

2. 日本の宇宙産業の意味、現状、と将来

  1. 1. 日本の宇宙産業を今ではどのような意味を持つか

コトバンクによると宇宙ビジネスは、「人工衛星の打ち上げや運用及びデータ活用など、宇宙において商業目的で行われる事業のこと」だ (「宇宙ビジネス」)。すなわち、日本の宇宙産業は宇宙関係のサービスやプロダクトを通して運営している日本の全ての企業という意味だろう。

そして、宇宙産業に三つの分野があると指摘されている。一番目は「製造・インフラ」という分野だ。宇宙製造は、ロケットや人工衛星などを製造することで、宇宙インフラは宇宙に関してのサービスやプロダクトの地上基板等だ (G Talent Blog)。二番目は「宇宙利用」という分野で、G Talentによると宇宙利用は「人工衛星を通して位置情報や気候変動などを調べる」と言われている。三番目は「宇宙探査」という分野で、「宇宙空間へ活動範囲を広げることを目的としている宇宙ビジネス」という定義がある(G Talent Blog)。従って、日本の宇宙産業では色々な活動が行っていて、多様性があるだろう。 

  1. 2. 日本の宇宙産業の現状はどうなっているか
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図1: 日本の宇宙機器製造産業の売り上げ推移

(出典:経済産業省製造産業局宇宙産業室、2017年)

データー等によると日本の宇宙産業は過去10年、徐々に発達している状況になっているが、1990年代に比較すると同じ水準だ。図1を見ると、日本の「宇宙機器製造産業の売り上げの推移」を示し、宇宙産業と等しいと言えるだろう。図1で、1990年から2000年にかけて産業の売り上げが横ばいになっていたが、2002年と2003年の間に急激に減少し、それから売り上げが現在に到るまで徐々に増加傾向を表している(図1)。従って、2021年の頃は日本の宇宙産業の売り上げは最も高い水準になっている可能性が高い。

図2:日本の宇宙産業の売上げの構造

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(出典:経済産業省製造産業局宇宙産業室、2016年)

その後、日本の宇宙産業の売り上げの構造は現在、一般的に多種多様だが、まだJAXAなどの政府機関が50%以上の割合を占めている(図2)。JAXAという政府機関は、「日本の航空宇宙開発政策を担う文部科学省所管の国立研究開発法人」の意味を持っている(「JAXA(ジャクサ)」)。JAXAは、2015年の頃国内の48%の売り上げを占め、合わせて57%の売り上げは政府機関からだ。つまり、日本では政府は現在でも宇宙開発、打ち上げ及び人工衛星製造に大きい影響をもたらしている。だが、宇宙産業は2015年の頃43%の売り上げを占め、意外と高い割合だろう。なぜなら、宇宙に関する活動の費用が圧倒的に高くて、政府しか担えないほどだという意見がよくあるからだ。それにも関わらず、日本の宇宙産業は現状に見ると、年々売り上げが増加し、そして政府の代りに国内売り上げの割合が拡大している状態が見られている。

  1. 3. 他国の宇宙産業との比較

図3:アメリカのロケット打上げ機数推移

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(出典:https://www.spacelaunchreport.com/logyear.html、2020年)

図4: 日本のロケット打上げ機数推移

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(出典:日本政策投資銀行、2017年)

日本の宇宙産業は現在発展しているし、他の国と比較すると大きな業界と見られているが、アメリカ、欧州、あるいは中国に比べると低位になっている。まず、言うまでもないが、世界中で宇宙活動をしている国は少なくて、先進国しか宇宙に関する打ち上げなどを行っている結果、日本の宇宙産業はその側面で見ると大規模で、良い位置にあるだろう。しかし、図3と4を見ると宇宙に対して日本とアメリカの差異が良く見られる。2015年に、アメリカは20機のロケットを打ち上げたが、日本は4機しか打ち上げなかった(図3, 4)。すなわち、アメリカは日本より5倍のロケットを打ち上げた。それから、ロシア、インド、そして中国と比較しても日本の方がロケットの打ち上げ数が低いと見られている。しかし、欧米、ロシア、及び中国等の宇宙産業はいずれも政府の支援によって作られて、政府の方針で打ち上げが多いかもしれない (日本政策投資銀行)。つまり、政府は宇宙の活動を必要としたら宇宙産業も変化するだろう。

  1. 4. 日本の宇宙産業の将来

          日本の宇宙産業はスタートアップなどによって、有望な将来がある。例えば、現在ニュースで良く書かれているスタートアップの一つはアストロスケールという企業で、「宇宙機の安全航行の確保を目指す」ということが企業の目標だ(「アストロスケールについて」)。そして、2022年にアストロスケールは宇宙デブリの捕獲と除去「に必要なコア技術を実証するミッション」が行うつもりで、成功すれば、日本宇宙企業が本格化していることを世界に見せることができる(「アストロスケールについて」)

それから、近年に開発された小型衛星等という最も小さな人工衛星の導入の結果、そしていわゆるライドシェアサービスという多くの人工衛星を一つの打ち上げに乗り合わせる組織により、衛星の打ち上げ費用が大幅に落下し、10年に打ち上げがとても安価になる予測がある(宇宙産業振興小委員会)。従って、日本で運営している衛星や衛星管理の企業が拡大し、日本の宇宙産業の世界的な競争力が高まる。また、小型人工衛星の増加とAIやビッグデータの進展を通じて、衛星からのデータを処理したり分析したりする企業も登場すると予測がされている(宇宙産業振興小委員会)。例えば、気候変動の観察、地理情報システム、そして衛星インターネットアクセス、将来にいずれも重要性が増加するため、そのサービスを運営する企業が創出されるだろう。

3. おわりに

日本の宇宙産業は宇宙に関してサービスやプロダクトを提供する全企業のことであり、「製造・インフラ」、「宇宙利用」、及び「宇宙探査」という三つの分野に分類されている。現在、日本の宇宙産業の売り上げ等を見ると、産業が進展している傾向が見られるが、まだ政府の方針や支援に頼っていて、独立な産業と言えるのは難しいと考えている。だが、多くの国では宇宙産業ということが全くなくて、日本の宇宙産業は珍しいし、日本の宇宙企業の競争力は欧米の大手宇宙企業と等しくないが、差が大きいとも言えないと思う。そして、アストロスケール等のスタートアップや小型人工衛星の進展により、全体的に日本の宇宙産業が発展しつつあり、世界的な競争力も向上すると予測されている。

しかし、日本の宇宙産業は将来に本格化するなら、複数の必要な行動があると考えている。まず、日本政府は宇宙活動に焦点を当てたり、スタートアップや企業をより多くの支援を与えたりすべきだ。それから政府の投資や補助で、そして宇宙産業と政府の連携でアメリカの宇宙産業のように日本の宇宙産業がかなり成長していくと思う。最後に、宇宙活動に役立つ研究の開発の進歩を含めて、イノベーションを目指すことも大事だと思う。世界中、宇宙はさらに重要性が上昇するため、日本の宇宙産業の有望な将来を確保しなければならないと考えている。


参考文献

G Talent Blog. 宇宙ビジネス業界の内容や現状を簡単にわかりやすく解説!. 2020年10月22日, https://www.gtalent.jp/blog/japanwork/others/space-business. 参照 2021年4月4日.

「JAXA(ジャクサ)」. goo辞書, NTT Resonant Inc., https://dictionary.goo.ne.jp/word/JAXA/. 参照 2021年4月5日.

Kyle, Ed. 「Worldwide Orbital Launch Summary by Year」. Space Launch Report, 2020年12月31日, https://www.spacelaunchreport.com/logyear.html.

「アストロスケールについて」. アストロスケール, https://astroscale.com/ja/about-astroscale/about/. 参照 2021年4月5日.

「宇宙ビジネス」. コトバンク, 2019年, https://kotobank.jp/word/日本宇宙ビジネス-2106218. 参照 2021年4月5日.

宇宙産業振興小委員会. 宇宙産業ビジョン 2030. 2017年6月, https://www8.cao.go.jp/space/comittee/27-sangyou/sangyou-dai11/siryou2.pdf.

経済産業省製造産業局宇宙産業室. 宇宙産業の現状と課題について. 2016年8月, https://www8.cao.go.jp/space/comittee/27-sangyou/sangyou-dai3/siryou2.pdf.

日本政策投資銀行. 日本における宇宙産業の競争力強化. 2017年, https://www.dbj.jp/topics/region/industry/files/0000027284_file2.pdf.